「マウスピース矯正を始めるけど、何をそろえればいいの?」
「インビザライン中の歯磨き粉や歯ブラシは、普通のものでいい?」
「外で歯磨きできないときは、どうすればいい?」
マウスピース矯正は、自分で外して、自分でお手入れする矯正です。だからこそ、毎日のケアに使う道具で、続けやすさがかなり変わります。
私は日本歯周病学会の認定歯科衛生士として、歯科医院で矯正中の患者さんを担当しています。この記事では、患者さんに実際にすすめているグッズを「必須」「あると便利」「なくてもいい」の3つに分けて紹介します。
先に言っておくと、全部そろえる必要はありません。医院で最初にもらえる物もあるので、買う前に確認してくださいね。
【結論】マウスピース矯正のグッズ早見表
| 必要度 | グッズ |
|---|---|
| 必須 | マウスピースケース/携帯用歯ブラシセット/ワンタフトブラシ/デンタルフロス/マウスピース洗浄剤 |
| あると便利 | チューイー/アライナーリムーバー/フッ化物入りの歯磨き粉/携帯用マウスウォッシュ/除菌スプレー |
| なくてもいい | 超音波洗浄機/ジェットウォッシャー/(新しく買う)電動歯ブラシ |
ケース・チューイー・リムーバーは、矯正を始めるときに医院でもらえることが多いです。まずは手元にある物を確認して、足りない物だけ買い足してください。
【必須】まずそろえたい5つ

① マウスピースケース|なくす原因の第1位は「ティッシュ」
食事のときに外したマウスピースを、ティッシュやナプキンに包んで置いておく。これが、なくしてしまういちばん多いパターンです。そのまま一緒に捨てられてしまいます。
実際に担当の患者さんも外食中、ティッシュに包んでいたら、そのまま忘れてしまい、なくしてしまったケースが何件かありました。マウスピースを外したら、自宅でも外出中でも必ずケースに入れる習慣にしてください。
選ぶときは、次の2つを見てください。
・カバンの中で開かない、しっかり閉まるもの
・目立つ色(テーブルに置いても忘れない)
② 携帯用歯ブラシセット|外すたびに磨くのが基本
マウスピース矯正では、食事のたびにマウスピースを外して、歯を磨いてから付け直すのが基本です。食べかすが残ったままマウスピースを付けると、歯とマウスピースの間に汚れが閉じ込められて、むし歯や口臭の原因になります。
外で磨くことが多い方は、コップ付きのセットが便利です。
③ ワンタフトブラシ|「アタッチメント」の周りに汚れがたまる
マウスピース矯正では、歯の表面に「アタッチメント」という小さな突起を付けることがあります。マウスピースが歯をしっかりつかむためのものですが、この周りに汚れがたまりやすいんです。
普通の歯ブラシでは届きにくいので、毛先が小さくまとまったワンタフトブラシを使います。アタッチメントの周りを、小さな円を描くように1つずつ磨いてください。
実際、染め出しをして磨き残しを確認すると、アタッチメントの周りだけ汚れが残っていることが本当に多いです。ワンタフトを使うようになると、次の来院のときに見て分かるくらい変わります。
④ デンタルフロス|歯と歯の間の汚れは歯ブラシでは取れない
マウスピースは、歯と歯の間にもぴったり密着します。歯の間に汚れが残ったまま付けると、そこにフタをすることになります。食後の歯磨きに、フロスを1回足すだけで違います。
⑤ マウスピース洗浄剤|水洗いだけでは落ちない汚れがある
マウスピースは毎日、口の中で唾液や汚れにさらされています。水洗いだけでは、白いくもりやにおいが少しずつたまっていきます。1日1回は、食事中マウスピースを外しているときに洗浄剤を使ってください。
マウスピースの素材によって、合う洗浄剤が違います。インビザラインなどの薄いマウスピースに合う洗浄剤は、こちらの記事でくわしく比べています。
【あると便利】快適さが変わる5つ

⑥ チューイー|新しいマウスピースに替えた日に
チューイーは、シリコンなどでできた小さな棒状のもので、マウスピースを付けたあとに噛んで、歯にしっかりなじませるために使います。とくに、新しいマウスピースに替えた日は浮きやすいので、あると便利です。
使い方や使う時間は、担当の先生の指示に従ってください。
⑦ アライナーリムーバー|爪で外している人に
マウスピースを外すときに、爪を引っかけて外している方は多いと思います。でも、爪が割れたり、マウスピースに変な力がかかって傷んだりすることがあります。リムーバーを使うと、奥歯内側から軽い力で外せます。
ネイルをしている方や、爪が短い方から『外すのが大変』とお悩みの方もいます。そういう方にはリムーバーをすすめています。
⑧ フッ化物入りの歯磨き粉|むし歯を防ぐのがいちばん大事
マウスピースを付けている間は、歯の表面に唾液が行き届きにくくなります。唾液には歯を守る働きがあるので、そのぶん、むし歯のリスクが上がります。
歯磨き粉を選ぶときは、次の2つを見てください。
・フッ化物が1450ppm(6歳以上の場合)
・研磨剤が少ない、または入っていないもの(ジェルタイプなど)
私がよくすすめているのは、チェックアップジュニアやチェックアップスタンダード。高濃度フッ化物で低研磨・低発砲なので、アタッチメントの周りも気にせず使えます。
⑨ 携帯用マウスウォッシュ|歯磨きできないときの応急処置
外食先で歯を磨けないときは、マウスウォッシュで口をしっかりゆすいでから付け直すと安心です。ただし、マウスウォッシュは歯磨きの代わりにはなりません。帰ってから、きちんと磨いてください。
⑩ 除菌スプレー|外出先でマウスピースを洗えないときに
外出先で、マウスピースを洗剤で洗えないときに便利です。シュッと吹きかけて、水ですすぐだけで使えます。
【なくてもいい】人によっては必要ないもの

ネットの「便利グッズ」には、必ずと言っていいほど出てくるけれど、歯科衛生士としては「全員に必要ではない」と思っている物もあります。
超音波洗浄機
マウスピースをしっかり洗える便利な道具ですが、洗浄剤を毎日使っていれば、なくても困りません。「毎日つけ置きする時間がない」「においがどうしても気になる」という方は検討してもいいと思います。
ジェットウォッシャー
ワイヤー矯正では大活躍しますが、マウスピース矯正では、フロスとワンタフトがきちんと使えていれば必須ではありません。歯ぐきの状態が気になる方や、すでに持っている方は、ぜひ使ってください。
電動歯ブラシ(新しく買う場合)
今お使いの電動歯ブラシがあれば、そのまま使ってOKです。ただ、矯正のために新しく買う必要はありません。大事なのは、ワンタフトでアタッチメントの周りを磨けているかどうかです。
外出するときの持ち物チェックリスト
外出時の持ち物チェックリスト
□ マウスピースケース
□ 携帯用歯ブラシ・歯磨き粉
□ フロス
□ 携帯用マウスウォッシュ(歯磨きできないとき用)
□ 除菌スプレー(洗えないとき用)
□ チューイー(交換したばかりのとき)
□ 小さな鏡(付けたかどうか確認用)
歯磨きできないときは、どうすればいい?
外食先や移動中など、どうしても歯を磨けないときもありますよね。そんなときは、次の順番で対処してください。
- 水かマウスウォッシュで、口をしっかりゆすぐ
- マウスピースを水で流して、付け直す
- 帰ったら、すぐに歯を磨いて、マウスピースも洗う
マウスピースを付けたまま飲んでいいのは、基本的に水だけです。ジュースやコーヒー、甘い飲み物は、マウスピースの中に入り込んで歯に長くとどまるので、外してから飲んでください。
外している時間が長くなると、治療の計画どおりに歯が動かなくなることがあります。1日に付ける時間は、担当の先生の指示を守ってください。
やってはいけないお手入れ3つ
- 歯磨き粉でマウスピースを磨く
歯磨き粉に入っている研磨剤で、マウスピースに細かい傷が付きます。傷に汚れがたまって、白くくもる原因になります。 - 熱いお湯で洗う
マウスピースが変形することがあります。洗うときは水か、ぬるま湯で。 - ティッシュに包んで置いておく
なくす原因の第1位です。外したら、すぐケースへ。
矯正の患者さんを担当していて感じる「続く人」の共通点
・「続く人」は、外したときの流れ(外す→ケース→食べる→磨く→つける)が習慣になっている
・「つまずく人」は、本気じゃない人が多い、つけるの忘れちゃうことがありましたと毎回言う人
・最初の1か月で、つける習慣が身についていると、その後がラク
よくある質問|インビザライン(マウスピース)矯正
Q. 子ども用の歯磨き粉でもいいですか?
大人の方は、フッ化物1450ppmの歯磨き粉がおすすめです。子ども用(6歳未満)はフッ化物の濃度が低めに作られています。お子さんのマウスピース矯正の場合は、年齢に合った濃度のものを選んでください。
Q. ホワイトニング歯磨き粉を使ってもいいですか?
歯を磨くのに使うのは問題ありませんが、研磨剤が多いものもあるので、アタッチメントの周りは強くこすらないようにしてください。マウスピースを洗うのには使わないでください。
Q. ガムは噛んでもいいですか?
マウスピースを付けたままガムを噛むのはやめてください。マウスピースにくっついたり、変形したりすることがあります。外しているときなら大丈夫です。キシリトール100%のガムなら、むし歯予防にもなります。
Q. 洗浄剤は毎日使わないといけませんか?
1日1回を目安にしてください。毎日の水洗いと、洗浄剤でのつけ置きを組み合わせると、くもりやにおいを防げます。
Q. グッズは歯科医院で買ったほうがいいですか?
医院で最初にもらえる物(ケース・チューイーなど)もあるので、まず確認してください。歯磨き粉やワンタフトは、歯科医院でも通販でも同じものが買えます。
まとめ|全部そろえなくていい。まずは「必須」の5つから
・必須は、ケース・携帯用歯ブラシ・ワンタフト・フロス・洗浄剤の5つ
・ケースやチューイーは、医院でもらえることが多い
・アタッチメントの周りはワンタフトで
・歯磨き粉はフッ化物1450ppm・研磨剤少なめ
・付けたまま飲んでいいのは水だけ
・マウスピースを歯磨き粉で洗わない、熱湯を使わない
マウスピース矯正は、毎日のちょっとした習慣で、仕上がりも、むし歯のリスクも変わります。道具に頼りすぎず、でも上手に使って、ラクに続けてくださいね。
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【監修・執筆】とうま
日本歯周病学会認定歯科衛生士/歯科臨床麻酔認定歯科衛生士/ホワイトニングコーディネーター
20年以上の臨床経験を基に、日本歯周病学会認定歯科衛生士をはじめとする複数の専門資格を有し、質の高い医療提供を追求している。
予防歯科、歯周治療、ホワイトニング分野を中心に、専門的知識をわかりやすく伝え、患者さんやそのご家族が安心できる情報を発信。


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