「口内炎が痛くて食事がつらい。市販薬はどれを選べばいいの?」
ドラッグストアの口内炎コーナーには、貼るタイプ・塗るタイプ・スプレー・飲み薬が並んでいて、違いが分かりにくいですよね。
この記事では、口内炎の市販薬を「タイプ(貼る・塗る・スプレー・飲む)」と「ステロイドが入っているかどうか」の2つの軸で整理しました。商品ごとの成分・使い方・注意点は、メーカーの公式情報と添付文書をもとにまとめています。
あわせて、歯科衛生士として臨床で見てきた「歯や入れ歯・矯正装置が当たってできる口内炎」や、受診したほうがいいサインもお伝えします。
【結論】口内炎の市販薬は「場所」と「原因」で選ぶ
まず、選び方の早見表です。どのタイプにも向き・不向きがあるので、口内炎の場所と、思い当たる原因から選んでください。

| こんなとき | 向いているタイプ | ポイント |
|---|---|---|
| 頬の内側・唇の裏など、貼りやすい場所 | 貼るタイプ(パッチ・フィルム) | 患部を覆うので、食べ物や歯が当たる刺激を減らしやすい |
| 舌のふち・歯ぐきの近くなど、貼りにくい場所 | 塗るタイプ(軟膏) | 指先や綿棒で狙って塗れる |
| のどに近い奥のほう・手で触りにくい場所 | スプレー | 手を汚さずに届きやすい |
| 何個もできる・くり返しやすい | 飲み薬(ビタミン剤・トラネキサム酸配合薬) | 外用薬と一緒に使われることが多い。くり返す場合は受診も検討 |
| こすると取れる白い斑点が広がる・水ぶくれ・発熱がある | 市販薬で様子をみない | カビやウイルスなど、感染が原因の口内炎の可能性。ステロイド入りの薬は使えないので受診を |
そして、市販薬を選ぶ前にひとつだけ確認してほしいのが「歯のとがり・欠けた詰め物・入れ歯・矯正装置が当たっていないか」です。当たっている原因が残っていると、薬を使ってもまた同じ場所にできやすくなります。心当たりがある場合は、歯科医院で調整してもらうのがいちばんの近道です。
口内炎ができたとき、私が患者さんによくお伝えしているのは、「とにかく刺激を減らすこと」です。
歯みがきは休まず続けたうえで、口内炎に歯ブラシが当たらないよう、やわらかめの歯ブラシで小刻みに磨きましょう。また、辛いもの・味の濃いもの・柑橘類は、しみるだけでなく、刺激が続くことで治りが遅くなることもあります。治るまでは控えめにしてみてください。
口内炎の市販薬の選び方|まず「ステロイドの有無」を確認

ステロイド入り(指定第2類医薬品)
口内炎の市販薬のうち、トリアムシノロンアセトニドという成分が入っているものはステロイド入りです。対象はいわゆる「アフタ性口内炎」(丸くて白っぽく、まわりが赤い口内炎)に限られ、使える年齢も決まっています(貼るタイプは5歳以上など)。
添付文書では、次のような場合は使用しないこととされています。
- 感染が原因と疑われる口内炎(こすると取れる白い斑点が口全体に広がる、黄色い膿がある、小さな水ぶくれがたくさんある、発熱がある など)
- 歯槽膿漏・歯肉炎など、口の中に感染がある部位
- 5日間使っても良くならない、または1〜2日使って悪化した場合(使用を中止して相談)
歯ぐきが腫れている・膿が出ているところにできた口内炎のようなものは、歯周病など別の原因のこともあります。自己判断でステロイド入りの薬を使わず、歯科医院で診てもらいましょう。
ステロイドなし(第3類医薬品)
アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルレチン酸、セチルピリジニウム塩化物(CPC)、アラントインなどを使った薬です。添付文書では、5〜6日使っても良くならない場合は使用を中止して相談することとされています。小さなお子さんに使うときは、それぞれの対象年齢と使い方を確認し、保護者が見守ってください。
飲み薬は「外用薬との組み合わせ」と「飲み合わせ」に注意
口内炎に使われる飲み薬には、ビタミンB2・B6などのビタミン剤と、トラネキサム酸・甘草(カンゾウ)を配合した薬があります。トラネキサム酸や甘草を含む薬は、かぜ薬など同じ成分を含む他の飲み薬と一緒に飲まないよう添付文書に書かれています。ほかに飲んでいる薬がある方は、購入時に薬剤師・登録販売者に確認しましょう。
タイプ別|口内炎の主な市販薬一覧
ここからは、ドラッグストアや通販で買える主な市販薬をタイプ別に紹介します。成分・効能・使い方はメーカー公式情報・添付文書(2026年10月確認)にもとづいています。使う前には必ず製品の説明書を読み、用法・用量を守ってください。
| タイプ | 商品名(メーカー) | 区分 | ステロイド |
|---|---|---|---|
| 貼る | 口内炎パッチ大正クイックケア(大正製薬) | 指定第2類 | あり |
| 貼る | アフタッチA(佐藤製薬) | 指定第2類 | あり |
| 貼る(溶けるフィルム) | トラフルダイレクトa(第一三共ヘルスケア) | 指定第2類 | あり |
| 塗る | トラフル軟膏PROクイック(第一三共ヘルスケア) | 指定第2類 | あり |
| 塗る | トラフル軟膏(第一三共ヘルスケア) | 第3類 | なし |
| スプレー | チョコラBB口内炎リペアショット(エーザイ) | 第3類 | なし |
| スプレー | トラフル クイックショット(第一三共ヘルスケア) | 第3類 | なし |
| 飲む | チョコラBBプラス(エーザイ) | 第3類 | なし |
| 飲む | トラフル錠a(第一三共ヘルスケア) | 第3類 | なし |
| 飲む | 大正口内炎チュアブル錠(大正製薬) | 第3類 | なし |
貼るタイプ(パッチ・フィルム)
口内炎パッチ大正クイックケア(指定第2類医薬品)
有効成分は1枚中トリアムシノロンアセトニド0.025mg。効能は「口内炎(アフタ性)」です。15才以上・5才以上の小児は、1患部に1回1枚を1日1〜2回貼ります。5才未満は使用できません。
アフタッチA(指定第2類医薬品)
有効成分は1錠中トリアムシノロンアセトニド0.025mg。効能は「口内炎(アフタ性)」。白い面を患部に付ける付着錠で、貼ったあとはゼリー状になって自然に溶けてなくなります(メーカー公式より)。15才以上・5才以上の小児は、1患部に1回1錠を1日1〜2回使います。
トラフルダイレクトa(指定第2類医薬品)
有効成分は1枚中トリアムシノロンアセトニド0.025mg。効能は「口内炎(アフタ性)」。はがさずに溶けてなくなる薄いフィルムタイプです(メーカー公式より)。15歳以上・5歳以上の小児は、1患部に1回1枚を1日1〜2回使います。
塗るタイプ(軟膏)
トラフル軟膏PROクイック(指定第2類医薬品)
有効成分は100g中トリアムシノロンアセトニド0.1g。効能は「口内炎(アフタ性)」。1日1〜数回、適量を患部に塗ります。塗ったあとはしばらく飲食を避けます。
トラフル軟膏(第3類医薬品・ステロイドなし)
有効成分はアズレンスルホン酸ナトリウム水和物、グリチルレチン酸、アラントイン、セチルピリジニウム塩化物水和物。効能は「口内炎、舌炎」。1日2〜4回、患部をきれいにしてから適量を塗ります。
スプレータイプ
チョコラBB口内炎リペアショット(第3類医薬品)
有効成分はアズレンスルホン酸ナトリウム水和物、セチルピリジニウム塩化物水和物。効能は「口内炎、のどの炎症によるのどの痛み・のどのはれ・のどのあれ・のどの不快感・声がれ」。1日数回、適量を噴射します(1回1〜3噴射が目安)。
トラフル クイックショット(第3類医薬品)
有効成分はアズレンスルホン酸ナトリウム水和物。効能は「口内炎、のどの炎症によるのどの痛み・あれ・はれ・不快感・声がれ」。ジェル状の液をスプレーするタイプです(メーカー公式より)。
飲み薬
チョコラBBプラス(第3類医薬品)
ビタミンB2(リボフラビンリン酸エステルナトリウム)・B6などを配合したビタミン剤で、効能に口内炎・口角炎・口唇炎・舌の炎症などが含まれます。15歳以上は1回1錠を1日2回。1ヵ月ほど飲んでも良くならない場合は相談とされています。
トラフル錠a(第3類医薬品)
トラネキサム酸、カンゾウ粗エキス、ビタミンB6・B2、ビタミンC(L-アスコルビン酸ナトリウム)を配合。効能は「口内炎、咽頭炎・扁桃炎(のどのはれ、のどの痛み)」。15歳以上は1回2錠、7〜14歳は1回1錠を1日3回。7歳未満は飲めません。同じ成分構成の薬に「ペラックT錠a」(第一三共ヘルスケア)もあります。
大正口内炎チュアブル錠(第3類医薬品)
トラネキサム酸、グリチルリチン酸二カリウム、ビタミンB2・B6などを配合。効能は「口内炎、咽頭炎・扁桃炎」。かむか口の中で溶かして飲むチュアブル錠で、15歳以上は1回2錠、7〜14歳は1回1錠を1日3回。7歳未満は飲めません。
歯科衛生士が見る「歯が原因の口内炎」
口内炎の多くは、ストレスや疲れ、栄養の偏りなどが重なってできるアフタ性口内炎です。いっぽうで、歯科の現場でよく見るのが「何かが当たって傷がつき、そこが口内炎になる」ケースです。
- 歯のとがり・欠けた歯や詰め物:舌のふちや頬の内側が同じ場所でこすれる
- 入れ歯:合わなくなった入れ歯のふちが歯ぐきに当たる
- 矯正装置:ワイヤーやブラケットが頬の内側に当たる
- 頬や唇を噛んでしまう:噛んだ傷が口内炎のようになる

このタイプは、当たっている原因をなくさないと、同じ場所にくり返しできやすくなります。歯のとがりは削って丸める、入れ歯は調整する、矯正装置には矯正用ワックスを使うなど、歯科医院でできる対処があります。「いつも同じ場所にできる」と感じたら、歯科医院で相談してみてください。
入れ歯が当たって口内炎ができている患者さんには、食事のとき以外はできるだけ入れ歯を外して、口内炎を休ませてあげましょうとお伝えしています。
また、矯正装置が当たっている場合や、歯のとがりで同じ場所がこすれている場合は、我慢せず、早めにかかりつけの歯科医院へ連絡してください
口内炎があるときの歯みがき・うがい
口内炎が痛いと歯みがきがおろそかになりがちですが、口の中が不潔になると治りにくくなることがあります。痛いところを避けながら、やさしく清潔を保ちましょう。

- やわらかめの歯ブラシで、口内炎に当てないように小刻みに磨く
- しみるときは、研磨剤や発泡剤が少ない・刺激の少ない歯磨き粉を少量にする
- うがいには、アルコールの入っていない低刺激の洗口液を使う(洗口液は口内炎の薬ではありません)
アルコールが入っていない洗口液の例として、サンスターの「ガム・プラス デンタルリンス[低刺激ノンアルコールタイプ]」(医薬部外品・歯周病予防などの効能)があります。洗口液を目的別に選びたい方は、マウスウォッシュの選び方(目的別)も参考にしてください。
口内炎は何日で治る?受診の目安
日本口腔外科学会によると、アフタ性口内炎は放置しても約1週間で自然に治るとされています。製薬会社の情報でも、ふつうは1〜2週間で治るとされています。
次のような場合は、市販薬で様子をみず、歯科医院(口腔外科)や内科・耳鼻咽喉科などを受診しましょう。

- 2週間以上治らない
- 口の中全体や唇のまわりまで広がっている
- ただれ・潰瘍になっている、まわりが硬い、出血する
- 発熱やだるさがある
- 何度もくり返す
- 痛みのないできものが少しずつ大きくなる
日本口腔外科学会は、痛みのないできものが少しずつ大きくなる場合は腫瘍の可能性もあるとしています。「ただの口内炎だろう」と自己判断せず、長引くときは早めに診てもらうことが大切です。
よくある質問
Q. 舌にできた口内炎にも貼るタイプは使えますか?
A. 舌はよく動くので、貼るタイプははがれやすいことがあります。舌のふちなど貼りにくい場所には、塗るタイプやスプレーのほうが使いやすい場合があります。どのタイプも、製品の説明書で使える部位と使い方を確認してください。
Q. 子どもにも使えますか?
A. 製品ごとに対象年齢が決まっています。たとえばステロイド入りの貼るタイプは5歳未満には使えません。飲み薬も、7歳未満や15歳未満は飲めないものがあります。また、子どもの口内炎は手足口病やヘルペスなどウイルスが原因のこともあるため、発熱がある、口の中にたくさんできている場合は小児科を受診しましょう。
Q. 矯正装置が当たってできた口内炎はどうすればいいですか?
A. まずは当たっている装置の部分を矯正用ワックスで覆い、刺激を減らしましょう。ワイヤーの端が飛び出している場合などは、歯科医院で調整してもらえます。矯正中のケア用品はマウスピース矯正の便利グッズでも紹介しています。
Q. 貼り薬と飲み薬は一緒に使ってもいいですか?
A. 外用薬(貼る・塗る・スプレー)と飲み薬を組み合わせて使う方は多いですが、ほかに飲んでいる薬や持病がある方は、購入時に薬剤師・登録販売者に相談してください。トラネキサム酸や甘草を含む飲み薬どうしは、一緒に飲まないよう注意が必要です。
まとめ|口内炎の市販薬は「場所」「ステロイドの有無」「原因」で選ぶ
- 貼りやすい場所は貼るタイプ、舌のふちなど貼りにくい場所は塗るタイプ、奥のほうはスプレー
- ステロイド入りはアフタ性口内炎が対象。感染が疑われる口内炎や歯ぐきの感染がある部位には使えない
- 歯のとがり・入れ歯・矯正装置が当たっている場合は、歯科医院で原因をなくすのが近道
- 2週間以上治らない・くり返す・広がる場合は受診を
口内炎の多くは、刺激を減らしてお口を清潔に保てば、1〜2週間ほどで自然に治っていきます。市販薬は、そのあいだのつらさをやわらげる助けになります。
ただし、なかなか治らない・何度もくり返す・いつも同じ場所にできるという場合は、ひとりで悩まず、歯科医院で相談してください。原因がわかれば、対処法もはっきりします。
参考資料
- PMDA 一般用医薬品の添付文書(口内炎パッチ大正クイックケア、大正口内炎チュアブル錠 ほか)
- 第一三共ヘルスケア 製品情報(トラフルシリーズ・ペラックT錠a)、口内炎の症状解説
- 佐藤製薬 製品情報(アフタッチA)
- エーザイ 製品情報(チョコラBBプラス、チョコラBB口内炎リペアショット)
- 日本口腔外科学会「口の中のキズ・できもの」
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」
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【監修・執筆】とうま
日本歯周病学会認定歯科衛生士/歯科臨床麻酔認定歯科衛生士/ホワイトニングコーディネーター
20年以上の臨床経験を基に、日本歯周病学会認定歯科衛生士をはじめとする複数の専門資格を有し、質の高い医療提供を追求している。
予防歯科、歯周治療、ホワイトニング分野を中心に、専門的知識をわかりやすく伝え、患者さんやそのご家族が安心できる情報を発信。

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